押川研究室は、物性研究所の研究室であるとともに、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻に所属し大学院教育も担当しています。
大学院生として押川研究室に配属を希望される方は、物理学専攻の大学院入試を受験して頂くことになります。
物性理論・統計力学の基礎的な問題に興味があり、世界にさきがけて新しい研究の流れを開拓する意欲のある方に来て頂きたいと思っています。物性研究所は大変恵まれた研究環境で、大学院生としても貴重な経験になることでしょう。
特に理論の研究では、もちろん基礎的な学力は重要です。また、研究にあたって新たに勉強しなくてはいけないことも当然出てきます。しかし、研究(人類にとって新しい知識を見出すこと)と勉強(先人によって既に見出されたことを学ぶこと)はかなり違います。研究とはどういうものか、自分がそれに向いているかどうか、などはまずやってみないとわからない、のが実際だと思います。しかし、大学院に進学する人は、勉強と研究は大きく違うものであることは頭に入れておいてください。
自分で研究テーマを決められる人については、私は邪魔はしないつもりです。ただ、適切な研究テーマを設定することは簡単ではありません。研究テーマは「面白く」、かつ取り組んでみて実際に何らかの具体的な結果(当初の目標通りである必要はありませんが)を得られるものである必要があります。これらの2つの(しばしば相反する)要求を満たすテーマを見つけることは、研究の半分に相当するかもしれません。過去の例では、修士課程ではこちらで示唆するテーマの中から選んで頂いたケースがほとんどです。博士課程では、自分でテーマを見つけられる場合も出て来ました。
物性理論・統計力学の研究室は東大だけでもたくさんあるので、それぞれどこがどう違うのか判りにくいかもしれません。また、理論の場合、研究テーマの選択や変更は比較的自由が効くので、違う研究室でも同じ題材を扱っていることが多くあります。研究室によって、あるいは研究者によって、発想やアプローチが違うということになります。それを感じて判断するには、やはりその研究者の論文(研究スタイルを知るためには、なるべく原著論文)を読んでみるのが一番良いと思います。※物理の論文には、オリジナルな研究結果を発表する原著論文(original article)と、その題材や分野についての解説論文(review article)があります。
予備知識無しに原著論文を読んでもわけがわからないかもしれませんが、雰囲気は感じることができるかもしれません。もちろん、その分野を理解する上ではまず解説記事を読むことは役に立ちます。
押川の研究に興味のある方には、たとえば(あくまで例ですが)以下のような原著論文や
M. Oshikawa, Topological Approach to Luttinger's Theorem and the Fermi Surface of a Kondo Lattice , Phys. Rev. Lett. 84, 3374 (2000). (PDF)
M. Oshikawa and T. Senthil, Fractionalization, Topological Order, and Quasiparticle Statistics, Phys. Rev. Lett. 96, 060601 (2006). (PDF)
C. Chamon, M. Oshikawa, and I. Affleck, Junctions of Three QuantumWires and the Dissipative Hofstadter Model , Phys. Rev. Lett. 91, 206403 (2003). (PDF)
これらに関連する解説記事:
押川正毅、戸塚圭介、山中雅則 「量子スピン鎖における磁化プラトー」 日本物理学会誌 54, No.10, 814-818 (1999).
押川正毅、山中雅則 「ラッティンジャーの定理とトポロジカルな量子化」 固体物理36 No6, 428-435 (2000).
押川正毅「スピンと磁性」 ~スピンの量子性はいかに発現するか~ 別冊数理科学 2010年1月号「多彩な量子の世界」
押川正毅 「トポロジカル秩序」 数理科学2007年6月号
などを見てみて頂ければと思います。 趣味が合うと思ってくれた(奇特な?)人に来てもらえると嬉しいです。
また、「研究」のページ もご覧ください。