物性研究所 短期研究会 

「強相関系におけるESRの新展開」

2007年5月21日-23日

東京大学物性研究所6階大講義室

提案者 : 押川正毅 (東大物性研)
太田仁(神戸大分子フォトセンター) 菊池彦光(福井大工)
野尻浩之(東北大金研) 萩原政幸(阪大極限センター)
宮下精二(東大理)      

東京大学21世紀COEプログラム「極限量子系とその対称性」の国際ワークショップ "New developments in ESR of strongly correlated systems" を兼ねて開催します。

開催趣旨:

電子スピン共鳴(ESR)は、物性研究の最も基本的かつ重要な観測手段の一つであり、電子スピンのダイナミクスを直接観測することにより、物性科学における多くの興味ある問題に対して重要な知見を与える。高周波ESRなどここ数十年の着実な実験技術上の進歩、および物質科学の発展に伴う多くの新物質などにより、ESRの対象はますます広がっている。しかし現状では、強相関系の物性研究にESRのポテンシャルが十分活用されてはいない。その大きな理由として、近年まで量子効果の強い強相関系に適切なESRの理論が存在せず、データの解釈が困難であった。しかし、最近、低温の1次元量子スピン系に対する場の理論に基づくESR理論、またESRスペクトルの直接数値計算など、新たな理論的手法が開発された。

これらの進歩をふまえて、今後強相関系におけるESR研究が大きく展開する可能性が期待できる。この機会に、関連する実験・理論の研究者が一同に会し、現状での理解をまとめるとともに、今後取り組むべき重要な問題を整理して将来の方向性を探りたい。

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